ユニック車、トラッククレーンのレポ、名称と種類、安全確保の留意点、CADデータの探し方

現在の主流となっているのは、高速道路の走行も可能な、トラック車ベースのトラッククレーンや、小型で小回りも利く、2トントラックサイズのトラッククレーンと言われています。
2tユニック・4tユニック・6tユニック・7tユニック・8tユニック・10tユニックや、4.9tトラッククレーン、5tトラッククレーンなど、種類も豊富です。

トラッククレーンは、コベルコ建機、タダノ、加藤製作所、古河ユニック、新明和工業などのメーカーが製造しています。
車両積載形トラッククレーンを示すユニックは、古川ユニックの商標です。
他メーカーではカーゴクレーン、積載型クレーンなど、メーカー固有の名称がついています。

建築現場や解体作業で活躍するユニック車やトラッククレーン

一般的なトラックの荷台部分にクレーンが設置されているトラックを、「ユニック車」や「トラッククレーン」などと呼びます。資材を搬入する時や解体現場などで発生した廃棄物をブームの先にあるクレーンで持ち上げて、トラック部分に積み込みなどを行う作業車です。
いろいろな現場で見かけることができる建機のため、作業場や工事現場はもちろんの事、倉庫や商品の搬入などの現場をcadで図面作成する時には、取り扱う事が多いはずです。

ユニック車やトラッククレーンは多様な名称で呼ばれる

ユニック車やトラッククレーンと呼ばれる、クレーンが備わっている建機ですが、その呼び方は多岐に渡っています。
よく言われる「ユニック車」という呼び名の基は、「古河ユニック」が取り扱っている登録商標である「ユニッククレーン」からです。この「ユニッククレーン」という呼び名が通称となり、やがて一般的になって「ユニック車」と呼ばれるようになりました。
そのため、他のメーカーでは「クレーン付きトラック」や「トラッククレーン」、「移動式クレーン」と呼ばれる事が多いようです。「クレーン付きトラック」、「トラッククレーン」、「移動式クレーン」も、基本的には「ユニック車」と同様に扱って良い場合がほとんどです。

移動式クレーンなどをcadで取り扱う場合

cadで図面や軌跡図を作成する場合、cadデータをダウンロードして使う場合が多いはずです。簡易的に図面をcadで作成するのであれば、車体の大きさなどに注意した上で「ユニック車」、「クレーン付きトラック」、「トラッククレーン」、「移動式クレーン」という区分けを気にせず、どのcadデータを使ってもあまり大差はないでしょう。
しかしながら、より正確な図面をcadで作成する場合は、「ユニック車」、「クレーン付きトラック」、「トラッククレーン」、「移動式クレーン」などそれぞれのcadデータを用意するべきです。
「ユニック車」、「クレーン付きトラック」、「トラッククレーン」、「移動式クレーン」それぞれのcadデータは、各メーカーサイトでフリーダウンロードが可能となっている場合がほとんどです。また、メーカーサイトでcadデータが存在しない場合でも、フリーダウンロードサイトとしてcadデータを無料で開放しているホームページが存在していますので、そちらで入手する事ができるでしょう。
一方で、メーカーサイトでもフリーのcadデータがダウンロードできず、また、無料cadデータを取り扱っているサイトでもcadデータが存在しない場合もあります。そういった場合は、公式サイトなどから無料でダウンロードできる性能表や寸法が表記されているカタログをダウンロードすると良いでしょう。
ダウンロードしたカタログに記載されている寸法や性能表を基にcadデータを作成し、作業場の図面や軌跡図に当て込むようにしましょう。

ユニック車やトラッククレーンの種類について

「ユニック車」、「クレーン付きトラック」、「トラッククレーン」、「移動式クレーン」は、一般的には積み込める最大積載量によって区分されます。2t・3t・4t・6t・7t・8t・10tのユニック車や4.9tトラッククレーン、5tトラッククレーンといったそれぞれの区分を知っておきましょう。

小型トラッククレーン

4t未満の「ユニック車」、「クレーン付きトラック」、「トラッククレーン」、「移動式クレーン」は小型車に属します。2t・3t・4t・6t・7t・8t・10tのユニック車のうち、2tと3tは小型ですがそれ以上は小型に含まれません。

中型トラッククレーン

4t以上10t未満の「ユニック車」、「クレーン付きトラック」、「トラッククレーン」、「移動式クレーン」は中型車に属します。ただし、8t未満としているメーカーもあります。2t・3t・4t・6t・7t・8t・10tのユニック車のうち、4t・6t・7t・8tまでが中型です。また、4.9tトラッククレーンや5tトラッククレーンも中型に属します。

大型トラッククレーン

10t以上の「ユニック車」、「クレーン付きトラック」、「トラッククレーン」、「移動式クレーン」が大型車です。大型のクレーン車に備わっているアウトトリガーは足底が四角いという特徴がありいます。これは、より安定感のある作りとなっているためです。8t以上を大型車として取り扱うメーカーも存在します。

移動式クレーンなど、現場によっての呼び方に注意しよう

通常、ユニック車などを区分けで呼ぶ場合は、最大積載量の重さで表します。しかし、現場や環境によっては、吊りの最大荷重をもって区分けしている場合もあるようです。
そのため、2t・3t・4t・6t・7t・8t・10tのユニック車や4.9tトラッククレーン、5tトラッククレーンと言われて、最大積載量だと思いcadデータを用意したら、実際は最大荷重だったというトラブルもあるようです。
cad図を作成する場合には、cadデータをダウンロードする前に、現場などと性能表や寸法を用いて詳細に打ち合わせをしておくと良いでしょう。
2t・3t・4t・6t・7t・8t・10tのユニック車や4.9tトラッククレーン、5tトラッククレーンといった車種だけでcadデータをダウンロードしてしまって、後から図面や軌跡図が間違いだったと気がついた場合、先方との信頼関係を失いかねない事態に発展する場合もあります。より正確な図面や軌跡図をcadで作成するのであれば、図を作成する前に曖昧な要素を取り除くようにしておきましょう。
一方で、図面や軌跡図をcad図で作成して現場環境などを確認した事により、2t・3t・4t・6t・7t・8t・10tのユニック車や4.9tトラッククレーン、5tトラッククレーンの認識が、全体で共有されていなかった事に気がつく場合もあります。性能表や寸法だけでは見えてこない部分などを、図面や軌跡図などをcad図で作り上げたからこそ発見できるのです。cad図は、現場の安全や安心を守っている一つのツールだという事を認識しておくと良いでしょう。

ユニック車やトラッククレーンのブームの注意点

4.9tトラッククレーン、5tトラッククレーンといった積載量などを気にするがあまり、平面のcadを作成している時に見落としがちなのがブーム長です。クレーン車のアーム部分とも言えるブームは、上空へ張り出している長さが重要なポイントとなります。
ブームを考える時には、旋回している時の円周や、上空にある送電線への影響を加味しなければなりません。平面で捉えているcadであったとしても、ブームの円周の長さに気をつけなければ、周辺機材や構造物への接触を考慮できなくなります。また、送電線などの配置を配慮していないcad図は、安全性と信ぴょう性に疑問符がついてしまいます。
ブームの長さは、クレーン車の最大荷重などで異なります。メーカーサイトに無料のフリーカタログには性能表が記載されいて、ブームの寸法も記載されているものがほとんどです。
無料cadデータやフリー素材に表されているブームの長さは、まれに適当に表現されている場合があります。無料のcadデータをフリーサイトなどからダウンロードして使う場合も、ブームの長さに注意を払うために、性能表で寸法を確認する癖を付けておきましょう。

移動式クレーンの無料cadデータを上手に活用しよう

トラッククレーンやユニック車のcadデータはメーカーサイトだけではなく、無料cadデータを提供しているホームページなどにも数多く存在します。それは、トラッククレーンやユニック車の活躍の幅が多彩だからこそです。
確かに、適当な寸法で作られたものや、ユニック車と言いつつも実はトラッククレーンであるといったデータも存在します。しかしながらフリーのcadデータは、上手に活用すればそれだけ作業効率が上がります。メーカーサイトにあるcadデータや性能表などはもちろんの事、無料データを掲載しているホームページのcadデータを活用して、より良いcad図を作り上げるようにしましょう。

移動式クレーンの運転資格

2t・3t・4t・6t・7t・8t・10tのユニック車や4.9tトラッククレーン、5tトラッククレーンはそれぞれの吊り上げ荷重により運転資格が変わります。
吊り上げ荷重0.5t以上1t未満の場合、移動式クレーン運転のための特別教育と玉掛けの特別教育が必要です。また、1t以上5t未満の場合:移動式クレーン運転士免許または小型移動式クレーン運転技能講習と玉掛け技能講習が、5t以上の場合には移動式クレーン運転士免許と玉掛け技能講習が必要とされています。

このうち、移動式クレーン運転のための特別教育と玉掛けの特別講習は、定められた規定に沿って事業主が実施することができ、小型移動式クレーン運転技能講習と玉掛け技能講習は各都道府県労働基準局またはその指定機関が行っています。

実際にクレーンの運転に加え、エンジニアとしてcadを習得しておくと、cadオペレーターへの作図依頼をスムーズかつ的確に行うことができます。また、cadデータを取り扱う場面では、性能表や寸法表などでは見えてこない注意点も、実機を運転できるからこそ理解できる部分もあるはずです。

ユニック車のCADデータによる安全確保

確実な現場作業と安全確保は事前計画が重要です

建物を建設するためには、多くの材料を搬入する必要があります。
重量が大きな材料の搬入は、人力で行うには限界があり、場合によってはユニックやトラッククレーン・移動式クレーンなどを利用した重機揚重が必要です。

重量のある材料は、横移動にも大きな労力が必要となるため、適切な位置へ荷下ろしを行うことが目的となります。

そのため、現場敷地内に配置できるボディーサイズで、かつ、適切な場所へ確実に届く車種を手配する必要があるのです。
もちろん、2tユニック・4tユニック・6tユニック・7tユニック・8tユニック・10tユニック・4.9tトラッククレーン・5tトラッククレーンなど、種類を的確に選ぶ必要もあります。

また、揚重作業には危険が伴うため、荷受け人とオペレーター、玉掛、ガードマンとの連携が重要となります。

2tユニック・4tユニック・6tユニック・7tユニック・8tユニック・10tユニックなど描き分けられたユニック車・トラッククレーンの軌跡図を始めとするCADデータを活用し、性能表を確認しつつ、事前に配置計画を行うことが確実な荷下ろし作業と安全性の確保につながります。

ユニック車やトラッククレーンの現場での実用性

ユニック車やトラッククレーン・移動式クレーン・クレーン付きトラックを使用する現場の様子を、しっかりと把握した上で、図面上に反映させることが、最も重要です。
というのも、これらには、ブームと呼ばれる伸びる部材が装着されており、可動範囲が広範囲に及ぶため、前後左右だけでなく上下にも配慮が必要になります。

住宅建設現場であれば、周囲に電線が巡っており、トラッククレーンのブームで、電線や高圧線に触れる、切断する、といった可能性もあるでしょう。

また、商業施設やビルなど大規模な工事であれば、そういった周囲への配慮を怠ると、支障や事故もより大規模です。

実際にブームを操縦する作業員自体も、配置場所や可動域などを把握し、安全性に配慮する必要があり、軌跡図や性能表など図面を使った確認も有効です。

トラッククレーンを用いる工程において、図面を作成・修正するのは、設計担当より現場施工監督者になるケースが多いかもしれません。

しかし、CADを使う者であれば全員、現場に出向き周囲の状況をよく把握した上で、図面に反映させ作図すべきです。
2tユニック・4tユニック・6tユニック・7tユニック・8tユニック・10tユニックなど、種類を分けて書く技術も必須です。

そうした能力やスキルが、CADエンジニアに求められていることを念頭において、現場施工に役立つ、実用性の高いCAD図面を作成していきましょう。

それぞれの図面に合ったユニック車・トラッククレーンのCAD選び

現場に合ったユニック車・トラッククレーンのCADデータ選び

ユニック車やトラッククレーンを図面に落とし込むと、ユニック車やクレーン車の設置場所や動線を把握することができるので、軌跡図などのCADデータは、施工図や指示図面内に多く利用されます。

その際、建物の大きさや構造物の種類によって、車種を選定しなければなりません。
特に気を付けたいことは、ブームの長さや、可動範囲を図面に落とし込む場合です。
図面に合ったサイズでのCADデータの落とし込みでなければ、実際に車両を設置する際に、その現場に合った車両を用意する事が困難な場合もあります。


この項では、図面に合ったユニック車、トラッククレーン選びのポイントなどについても説明していきます。

メーカーサイトで提供されているCADデータを利用する

ユニック車・トラッククレーンのメーカーサイトでは、数多くの軌跡図などのCADデータが提供されています。

また、クレーン作業を専門に行っている企業や、建設関係の重機専門のリース企業のサイトでも数多く提供されています。

他にも、CADデータ共有サイトでも、クレーン車関連のデータは多くありますので、さほど苦労はなくデータを入手することができます。

建設現場でのトラッククレーンの使用状況、環境を考慮する

ユニック車・トラッククレーンのCADデータは、主に、施工方法や指示を行う図面に多く利用されます。

適切な大きさや、現場に合った車両タイプのCADデータを利用することによって、現場状況をイメージしやすくなります。
また、指示のしやすい設計図や施工指示図の作成が可能になります。

クレーンは「大は小を兼ねる」事ができますが、種類や大きさなどの特徴を押さえていなければいけません。
実際の現場では移動ができなかったり、ブームの長さや可動域が大きすぎて、建物にぶつかってしまう等のトラブルを起こしかねません。

軌跡図などのCADデータを落とし込む際には、十分に車種や仕様を考慮し、現場に合った車種のCADデータを利用しましょう。

ユニック車・トラッククレーン・移動式クレーンの軌跡図や旋回軌跡図などのCADデータという、正確な根拠をもとに施工計画書を作成することができます。
もちろん、2tユニック・4tユニック・6tユニック・7tユニック・8tユニック・10tユニックなど描き分けも必須です。

材料搬入計画における効率を高め、安全で、見た目にもわかりやすいため、関係者によって共有することで、円滑な工事につなげることができるでしょう。