「CADの登竜門」とも呼ばれているAutoCADは、機械・建築・土木などのあらゆる分野で利用されているCADソフトです。CADソフトの中ではシェアが世界的にトップであり、長年多くの人に親しまれています。
この記事では、AutoCADとはどんなソフトウェアなのか、Jw_cadとの違い、習得方法について詳しく解説します。
AutoCADとは
まずCADというソフトについて説明しますがCADとはComputer Aided DesignもしくはComputer Assisted Designの略称で 「コンピュータによる設計支援」を行うためのソフトです。
その中でもAutoCADは、オートデスク社が開発・提供するCADソフトです。
初心者でも扱いやすいので「CADの登竜門」とも呼ばれています。
AutoCADは2Dと3Dの図面をどちらも作成と表示することが可能で、機械・建築・土木などのあらゆる分野で、設計や作図に重宝されています。
その便利さからCADソフトの中ではシェアが世界的にトップであり、長年多くの人に親しまれているCADソフトとして有名です。
ライセンス・料金
AutoCADには主に「AutoCAD」と「AutoCAD LT」という2種類の製品があり、「AutoCAD LT」はAutoCADの2D機能のみとなっております。
そのため「AutoCAD」より安く購入できます。3D機能が必要ないメーカーやゼネコンなどの多くはAutoCADの高度な機能を有していてなおかつ、低コストのLT版を重宝しています。
料金に関しては、サブスクリプション形式(数か月や1~2年などの使用期間を決めて購入する形式)での購入になります。以下が価格の詳細です。
1カ月 | 1年間 | 3年間 | |
---|---|---|---|
AutoCAD | 26,400円 | 209,000円 | 564,300円 |
AutoCAD LT | 7,700円 | 64,900円 | 174,900円 |
※全て税込み価格。
AutoCADの特徴
拡張性の高さ
AutoCADの特徴の1つ目は「拡張性の高さ」です。
AutoCADに限らず、オートデスク社のソフトはアドオンソフトが充実しているのが大きなメリットといえます。
AutoCADシリーズやその他のオートデスク社の製品はもちろんですが、アドオンソフトとの連携で多様な機能を付帯できるので、各社や、各個人に合わせて使いやすくカスタマイズすることが可能です。
また、機械設計、建築設計、土木設計などの各分野に合わせた「業種別ツールセット」も用意されているので、初心者の方でも操作しやすい仕様になっております。
こちらの「業種別ツールセット」が用意されているのは他のCADソフトにはない特徴です。企業や個人独自のカスタムをすることで、製図や設計作業を効率的に取り組めるでしょう。
シェアの高さ
2つ目の特徴は「シェアの高さ」です。
AutoCADは汎用2DCADとしては、日本はもちろん世界でもトップシェアを誇っています。
汎用2DCADとは、ジャンルや業界に関係無く、使いやすいCADのことを指します。
AutoCADの他にも「VectorWorks」「Jw-CAD」なども有名ですが、AutoCADはこれらよりも使われているCADソフトです。
そしてユーザーが多いということは、データ共有がしやすいということはもちろんのこと、AutoCADに関連する情報がたくさんあるとも言えます。
Googleなどで「AutoCAD」と検索した場合、FAQや初心者向け学習サイトも膨大な数がヒットします。
また、インターネットのみならず解説の書籍も多く出版されている他、AutoCADを教えている通信講座やスクールも日々拡充されております。
これから学習を始めたい方や、さらなるスキルアップを希望している方、両者にとって選択肢が無数にあることは大きなメリットではないでしょうか。
さらに、今の時代において設計職が足りていない企業は数多く存在するので、シェアが高いAutoCADが操作できるとステータスとして認められ、転職が有利にはたらく可能性も大いに考えられます。
豊富なツールセット
AutoCADが拡張性が高い故に、さまざまなカスタムが可能である点はお伝えしました。
具体的には機械設計機能を持つAutoCAD Mechanical(オートキャドメカニカル)、建築設計専用の機能を持つAutoCAD Architecture(AutoCAD Electricalアーキテクチャ)、さらには電気設備設計専用の機能を持つAutoCAD Electrical(オートキャドエレクトリカル)などをはじめとした、各専門分野に特化したツールセットが提供されており、仕様用途によってより使い勝手がよく改良されているのも、他のCADソフトにはない特徴の1つです。
AutoCADとJw_cadの違い
価格
AutoCADはオートデスク社の「商品」ですが、Jw_cadはフリーソフト。つまり無料公開されていて誰でも使えるCADソフトです。
Jw_cadのオンラインソフト紹介サイトや公式ホームページなどから、ダウンロードできます。
コスト面で比較した場合にAutoCADだと2D機能のみの「AutoCAD LT」でも3年間の174900円(月額4850円ほど)かかるので、無料のJw_cadの方が入手しやすいのは明らかです。
ただし、AutoCADにも「無料体験版」と「学生版」があり、前者なら30日間無料で、後者であれば3年間無料で利用できます。
機能
結論から述べるとJw_cadは建築設計に特化した2D作図のためのCADソフト。そしてAutoCADは前者のように1つの領域に特化せずに幅広く使えるCADソフトです。
そのためJw_cadは設備や建具などのコマンドの活用による簡単作図設計や、アイソメ図や透明図が作図可能な2.5D機能、日影図作成機能、梁や柱などの包絡処理など、作図に関してはAutoCADに無い機能も豊富に存在します。
一方AutoCADの優れている点は、こなせる業務領域が作図に留まらないということです。
「拡張性が高い」ことはすでに述べましたが、AutoCADシリーズやその他のオートデスク社の製品、さらにアドオンソフトとの連携で多様な業務を個々にカスタムしてこなすことができます。
極論を言ってしまえば設計とそれに関わる関連業務にあたってAutoCADは「できないことがない」だけの機能を有しているのがJw_cadとの違いです。
扱えるデータ
Jw_cadとAuto CADでは、扱える図面形式が異なります。Jw_cadは、Auto CAD標準のファイル形式であるDWG形式を開くことができません。
そしてAuto CADの方でも、Jw_cad標準のファイル形式であるJWW形式やSXFを開けないのです。CADの導入を検討しているのであれば、利用するCADデータ形式を踏まえて検討しましょう。
Jw_cadとAuto CADで扱えるファイル形式は下記の通りです。
CAD種類 | 扱えるファイル形式 | 読込できるファイル形式 |
---|---|---|
Jw_cad | .jww/.jwc/.dxf/.sfc/.p21 | ― |
AutoCAD | .dwg/.dwt/.dxf/.dws | .pdf/.3ds/.sat/CATIT V5/CATIT V4 IGES/Invertor/JT/STEP/SolidWorks Parasolidなど |
AutoCADの習得方法
独学
AutoCADはそのシェアの高さから関連する情報が、インターネットの記事や動画、書籍などその気になれば独学で学ぶことも不可能ではありません。
どうしても初期投資にお金をかけるのが難しい。もしくは自分ペースで学びたいのであれば独学で学ぶのも1つの手段として検討してみても良いでしょう。
スクール
独学で学ぶことができるとは言ったものの、シェアの高さ故に情報が過多であるのも事実。どの情報を選ぶべきかを判断するのが初心者には難しいこともあるでしょう。
そういった場合はスクールの受講をするのが良いでしょう。費用はかかるかもしれませんが、わからないところを質問できる点や、人によっては1人で学ぶよりも誰かに教えてもらったり、共に学ぶ人がいた方がモチベーションアップにつながる場合もあります。
また、スクールと個人の状況によっては。教育訓練給付金制度の利用で、スクールの受講料の一部を国から支給してもらうことも可能です。
スクールに通学をお考えの方はスクールのスタッフに詳細を確認してみましょう。
オートデスク認定資格プログラム
「オートデスク認定資格プログラム」は、世界中のオートデスク社のユーザー 20 万人以上が取得している世界規模の共通の認定資格制度を指します。
AutoCAD を中心としたオートデスク社のユーザーの実務に則した CAD の操作・活用スキルを、試験や認証する制度です。日本では初級ユーザーや学生向けの「オートデスク認定ユーザー」の受験が可能です。