空調設備の品質管理、安全管理をおこなうためには、さまざまな資格が必要になります。一般の作業員が、事故やトラブルに備えることは難しいので、専門的な知識を持った者を配置することになります。政令で定める一定の業務については、資格を取得した監理技術者または主任技術者を置くことが義務づけられています。
空調設備工事・メンテナンスに必要な資格一覧 その1
空調設備工事・メンテナンスに必要な資格は以下の通りです。
- 冷凍機械責任者
- 冷媒フロン類取扱技術者
- 電気工事士
- 認定電気工事従事者
- 電気主任技術者
- 電気工事施工管理技士
- ボイラー技士
- 管工事施工管理技士
- 建築物環境衛生管理技術者
冷凍機械責任者
冷凍空調技士とは、冷凍・空調設備の設計、製作、施工に関する技術を認定する資格です。機器・設備の不備による損失や事故の発生を防止することを目的としています。公益社団法人 日本冷凍空調学会が資格の認定をおこなっており、60年以上の長い歴史がある資格です。
公益社団法人 日本冷凍空調学会では、食品冷凍技士の資格も認定しています。
冷凍空調技士になるには、公益社団法人 日本冷凍空調学会が実施する冷凍空調技士試験に合格する必要があります。第2種には受験資格がありませんが、認定には2年以上の実務経験が必要です。
冷凍空調技士試験の概要
試験日程 | 年に1回、2月下旬の日曜日に実施 |
試験地 | 東京、名古屋、大阪、福岡 |
受験料 | 第一種冷凍空調技士
第二種冷凍空調技士
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受験資格 | 第1種 1. 冷凍・冷蔵・空気調和、低温・高温の実務経験4年以上の者。 2. 大学、短大、高専で工学又は理学を修めて卒業し、実務経験 2年以上の者。 3. 第二種合格後、通算1年以上の実務経験を有する者。 4. 工業高校卒業後、通算3年以上の実務経験者。 5. 冷凍空調学会主催の通信教育を優秀な成績で終了し、実務経験 2年以上の者。 第2種 制限なし。但し認定には実務経験2年以上が必要。 |
試験内容 | 理論 ①冷凍サイクル・圧縮機、②伝熱・熱交換、 ③冷媒、冷凍機油、ブライン、冷凍装置設計計算、 ④圧力容器の強度、⑤空気調和(Ⅰ)、⑥空気調和(Ⅱ) 技術 ①冷凍装置設計計算、②冷凍装置自動制御、③冷媒配管・付属機器 ④冷凍装置の運転と保守、⑤保安、⑥空気調和機器 |
合格基準 | 第一種・第二種ともに全体の60%以上の得点で合格 |
合格率 | 第一種で40~50%程度、第二種で50~65%程度 |
電気工事士
電気工事士の資格には、第一種電気工事士と第二種電気工事士があります。
第一種電気工事士の資格では、一般用電気工作物及び自家用電気工作物(最大電力500キロワット未満の需要設備に限る)の作業に従事することができます。第二種電気工事士の資格では、一般用電気工作物の作業に従事することができます。
ただし、自家用電気工作物で最大電力500キロワット未満の需要設備における600ボルト以下で使用する設備の電気工事(簡易電気工事)は、第一種電気工事士の資格がなくても、認定電気工事従事者認定証の交付を受ければ従事できます。
また、自家用電気工作物で最大電力500キロワット未満の需要設備ネオン用の設備及び非常用予備発電装置の特殊電気工事は、特種電気工事資格者認定証の交付を受けているものでなければ、第一種電気工事士の資格があっても従事できません。
空調設備工事・メンテナンスに必要な資格一覧 その2
電気主任技術者
電気主任技術者とは、電気工事の現場監督や電気設備の保安・点検を行うための資格です。
電気主任技術者には第一種、第二種、第三種の3つがあり、担当できる工事の規模が変わります。
電気主任技術者になるには、一般財団法人電気技術者試験センターが実施している電気主任技術者試験に合格するか、電気主任技術者認定校を卒業する必要があります。
電気工事施工管理技士
複雑な作業が行われている現場の安全を守るために、電気工事施工管理技士が尽力しているのです。現場において、高い水準の施工管理を行うには、優秀な電気工事施工管理技士が必要です。適切な施工管理によって、現場が安全に保たれます。
一般の作業員が、事故やトラブルに備えることは難しいので、専門的な知識を持った者を配置することになります。 例えば、電気工事施工管理技士は、所定の資格試験に合格している専門家です。 建設工事が高度化・専門化してきたことで、電気工事施工管理の果たす役割も大きくなっています。 現場の施工管理を徹底しなければ、作業員や関係者の安全を守ることができません。 電気工事施工管理が中心となって、適切な施工管理を行います。
建設工事の現場では、監理技術者または主任技術者を置くことが義務づけられています。電気工事施工管理技士1級を取得していると、監理技術者・主任技術者になれます。2級を取得している場合は主任技術者になれます。
電気工事施工管理技術検定は、一般財団法人建設業振興基金が実施しています。
受験資格 | 学歴や取得している資格ごとの実務経験が必要 |
日程 | 年に2回実施
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受験料 |
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空調設備工事・メンテナンスに必要な資格一覧 その3
ボイラー技士
ボイラー技士は、一定規模以上のボイラーの運用や管理、保守点検を行う、労働安全衛生法に基づく国家資格です。
安全にボイラーを運転するために重要な職業であり、ボイラーの燃焼効率の向上やコストダウンといったことも求められるケースがあります。大きなビルには必ずボイラー技士が必要なので需要が高い職業です。政令で定める一定の業務については、ボイラー技士免許を取得したものでなければ業務に就かせてはならないという就業制限が設けれられています。
ボイラー技士には、二級ボイラー技士・一級ボイラー技士・特急ボイラー技士の3つの区分があります。すべての区分でボイラーの取り扱いは可能ですが、ボイラー技士取得者を統括する立場の作業主任者の選任には、各区分に応じた級を取得する必要があります。
ボイラー技士試験に合格し、実技講習や実務経験の要件を満たすことで、ボイラー技士の免許が交付されます。ボイラー技士試験に合格するだけで、ボイラー技士になれるわけではありません。免許を交付されるためには、試験の合格通知・実務経験を証明する実務経験従事証明書を労働局免許証発行センターに提出する必要があります。
ボイラー技士試験は、公益財団法人 安全衛生技術試験協会の安全衛生技術センターで主催しています。
日程 | 二級が毎月、一級が年に7回(4月・5月・7月・9月・11月・1月・2月)、特級が年に1回(10月)実施 |
試験地 | 全国7地域(北海道・宮城・千葉・愛知・兵庫・広島・福岡)の公益財団法人 安全衛生技術試験協会の安全衛生技術センター |
受験料 | 6,800円(非課税) |
試験科目 | ・ボイラーの構造に関する知識 ・ボイラーの取扱いに関する知識 ・燃料及び燃焼に関する知識 ・関係法令 |
合格基準 | 科目ごとの得点が40%以上で、かつ総得点が60%以上で合格 |
合格率 | 特級ボイラー技士で約30%、一級ボイラー技士で約50%、二級ボイラー技士で約60% |
管工事施工管理技士
管工事施工管理技士とは、冷暖房設備工事や空気調和設備工事、給排水・給湯設備工事、衛生設備工事などの管工事を行う際、 現場の責任者として施工計画の作成や工程管理、品質管理、安全管理などの業務を行う人のことをいいます。 管工事施工管理技士は、国土交通省が管轄する施工管理技士に分類される国家資格となっており、1級と2級の2つの区分があります。 管工事施工管理技士は、一定金額以上の管工事を請け負う場合には、1級の有資格者を現場に配置することが義務付けられています。
管工事施工管理技士は、国家資格のうちのひとつになり、一定金額以上の大規模な建設工事について常駐が義務付けられています。 仕事内容は、ガス配管や空調ダクト・給湯設備・冷暖房設備・上下水道管など、管工事において施工計画を作成して、工程管理・ 安全管理・品質管理をおこないます。 管工事施工管理技士は、公共工事への入札の際には、入札企業に所属する有資格者の人数も審査の基準とされるなど、 建設業における様々な現場で必要とされる資格となっています。
管工事施工管理技士の資格を取得すると、浄化槽設備士、給水装置主任技術者など他の資格を取得しやすいといったメリットもあります。1級管工事施工管理技士資格を取得した後であれば、実務経験を2年以上積むと「建築設備士」の受験資格が得られます。
管工事施工管理技士になるには、定められた年数の実務経験を積まなくてはならないため、管工事施工管理技士の給料は新人の技術者や資格を持っていない一般の技術者よりも高く設定されていることがほとんどです。
配管工事はさまざまな建築物に欠かせないため、手に職を付けたい方に向いています。建設の需要は今後も続くことが見込まれるため、安定した仕事が受けられる1級、2級管工事施工管理技士の取得をおすすめします。
管工事施工管理技術検定の概要
管工事施工管理技術検定は、一般財団法人全国建設研修センターが実施しています。
受験資格 | 学歴や取得している資格ごとの実務経験が必要 |
日程 | 年に2回実施
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受験料 |
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建築物環境衛生管理技術者
建築物環境衛生管理技術者とは、施設での空気環境の測定、水質検査、清掃・ごみ処理、 害虫・害獣駆除、空調・給排水設備の整備などに関する計画を立案、実施し、改善点を指摘する人を認定する国家資格です。
建築物における衛生的環境の確保に関する法律に基づき、特定建築物所有者等は、その特定建築物の維持管理が環境衛生上適正に行われるように監督を行う必要があります。
建築物環境衛生管理技術者は、環境衛生上の維持管理に関する業務を全般的に監督するために、以下の職務を十分な水準で行える必要があります。
- 管理業務計画の立案
- 管理業務の指揮監督
- 建築物環境衛生管理基準に関する測定または検査結果の評価
- 環境衛生上の維持管理に必要な各種調査の実施
試験ではこれらの職務を遂行することができるための能力や知識が問われます。